2010年11月22日月曜日

今後の方向性はFPS…かも

分析結果

●クリスマス・キャロル(2009年)
監督:ロバート・ロドリゲス
主観POV…55カット
主観移動…14カット
飛び出し効果…6カット
FPS的なPOV…8カット
POVではないFPS的なショット…7カット
=計90カット

ただし、データにエラーが起きたのか、映像のほんの数シーンが消えていたため、完全な結果ではない。なので、分析出来なかったシーンはまた後日。ただ、ほとんど数値に変化はでないと思う。

今の段階でも断言できるのは、昔と比べて視線を一致させるのみならず、主観者の目とカメラを完全に同一にするFPS的な体験型のPOVショットが増えているということ。
またPOVではないのにかかわらずFPSに似たショットも使用していることから、POV以外のシーンにも体験型のショットを意図的に組み込んでいる可能性が高い。
前にも記述したが、FPSゲームが流行し始めたのは、1992年~1993年である。
よって第2次立体映像ブームの頃には見られなかったが、第3次立体映像ブームでFPS的なショットを使用し始めたのは、FPSゲームを見て、FPSゲームには映像世界を体験する効果があるとを監督が判断し、使用している可能性がある。

立体映像における有効的なのPOVショットを研究するうえで、『FPS的なPOVショット』は、今後の研究のもう一つの軸として考察していきたい。

いまのところ考えられる問題点は、以下だ。
①FPSゲームは、海外では流行しているものの、日本ではあまり人気がなく、馴染みがない。
FPS的なショットは、日本人の観客にも通常のPOVより体験効果があるのか。
FPSゲームをやったことのない観客にも有効的なのか。
(ただし、日本では『007ゴールデンアイ』というソフトが、唯一大きくヒットしたFPSゲームがある。私も小学6年生の頃、かなりはまってやりこんでいた。)
②FPS的なショットでの、移動はどうするべきか。立体映像は縦揺れに弱い。
視線だけでなく、カメラ自体が主観者の目と同一になるFPS的なショットでは、近年のPOV映画(グローバー・フィールドなど)のように主観移動に縦揺れを表現する場合もあるのでは?
(↑実は、2D映画ではあるが『DOOM』という映画に、クライマックスの10数分ほぼFPSゲームの再現のような画で、ゾンビとの戦いを描いたシーンがある。この動きがヒントになる可能性がある)
③ゲームやクリスマス・キャロルのようにCG作品なら良いが、実写で行う場合の撮影方法。
完全に主観者の目と同一の位置で撮影しなければならないショットを、どのように撮影するか。

①③は実験、②は分析で解決していく。

今後の論文の方向性が定まってきた。

1 件のコメント:

  1. たしかに「ひとを驚かす」感じの映画には、FPS的(主観ショット)映像が多くなりますよね!「サメにおそわれる見た目」とか...

    体感的な映像って、要するに「人間が見たとおりの映像」ってことだから。そういう意味では、今君の今回の研究は、主観的映画の研究っていうことにもなりますね... どんどん頑張って進めて下さい! (プロ演の指導もご苦労様ですが、よろしくお願いいたします)

    by ササキ

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