2010年11月29日月曜日

論文を書いてみて

論文を書きだしましたが、色々難しいものです。

特に、文章内で使う用語の意味が一つ一つのことが正しいかどうかの根拠を調べるのが大変です。例えば『立体映像』の定義。
どの情報源から得た定義が正しいのか。
その定義を述べている人がその業界で権威のある人なのか。

一つ一つの定義を確かめることだけでも大変です。
論文を書きながら、こういうときは本がたくさんあれば便利だなと思いました。
ネットの情報は情報源があまり明確でないので。
立体映像系統の本は最近多くはなってきましたが、これまでは少なかったのでもっと収集したいです。

余談
昨日、知り合いが出演する落語を観てきたのですが、ああいった舞台を立体映像にしたらどうなるのか、どう撮影するのか考えていました。
『笑点』のように撮影するのも良いですが、とくに落語のように動きがあまりになく、会場という空間でみるものこそ、POVショットが使えるんじゃないかと思いました。
どこかの客席のお客の主観で、他のお客さんの状況も視界に入っている状態で舞台上を観る。
その空間を体験するといううえで、他のお客さんの反応が視界に入り、実際に見るポジションである客席の主観は、ああいう舞台を撮影するうえでは有効的かなとも思いました。

2010年11月22日月曜日

今後の方向性はFPS…かも

分析結果

●クリスマス・キャロル(2009年)
監督:ロバート・ロドリゲス
主観POV…55カット
主観移動…14カット
飛び出し効果…6カット
FPS的なPOV…8カット
POVではないFPS的なショット…7カット
=計90カット

ただし、データにエラーが起きたのか、映像のほんの数シーンが消えていたため、完全な結果ではない。なので、分析出来なかったシーンはまた後日。ただ、ほとんど数値に変化はでないと思う。

今の段階でも断言できるのは、昔と比べて視線を一致させるのみならず、主観者の目とカメラを完全に同一にするFPS的な体験型のPOVショットが増えているということ。
またPOVではないのにかかわらずFPSに似たショットも使用していることから、POV以外のシーンにも体験型のショットを意図的に組み込んでいる可能性が高い。
前にも記述したが、FPSゲームが流行し始めたのは、1992年~1993年である。
よって第2次立体映像ブームの頃には見られなかったが、第3次立体映像ブームでFPS的なショットを使用し始めたのは、FPSゲームを見て、FPSゲームには映像世界を体験する効果があるとを監督が判断し、使用している可能性がある。

立体映像における有効的なのPOVショットを研究するうえで、『FPS的なPOVショット』は、今後の研究のもう一つの軸として考察していきたい。

いまのところ考えられる問題点は、以下だ。
①FPSゲームは、海外では流行しているものの、日本ではあまり人気がなく、馴染みがない。
FPS的なショットは、日本人の観客にも通常のPOVより体験効果があるのか。
FPSゲームをやったことのない観客にも有効的なのか。
(ただし、日本では『007ゴールデンアイ』というソフトが、唯一大きくヒットしたFPSゲームがある。私も小学6年生の頃、かなりはまってやりこんでいた。)
②FPS的なショットでの、移動はどうするべきか。立体映像は縦揺れに弱い。
視線だけでなく、カメラ自体が主観者の目と同一になるFPS的なショットでは、近年のPOV映画(グローバー・フィールドなど)のように主観移動に縦揺れを表現する場合もあるのでは?
(↑実は、2D映画ではあるが『DOOM』という映画に、クライマックスの10数分ほぼFPSゲームの再現のような画で、ゾンビとの戦いを描いたシーンがある。この動きがヒントになる可能性がある)
③ゲームやクリスマス・キャロルのようにCG作品なら良いが、実写で行う場合の撮影方法。
完全に主観者の目と同一の位置で撮影しなければならないショットを、どのように撮影するか。

①③は実験、②は分析で解決していく。

今後の論文の方向性が定まってきた。

2010年11月18日木曜日

分析結果

●シャークボーイとマグマガール
・主観POV…32カット
・主観移動…4カット
・飛び出し…9カット
・FPSのようなPOV…4カット
49カット

シンポジウムのあった2005年のすぐの作品ということもあり、主観移動がアバターやべオウルフに比較してもかなり少なかった。飛び出し効果も、第2次立体映像ブームの作品に比べればは少ないが、アバターなどに比べると多い。
今回も、主観者の体の一部が入ったPOV(以下、FPSのようなPOV)が見られた。
ただ、あまりゲーム的な構図は意識されてなく、手に持った時計を見るなどといった、偶然からの一部が入った主観POVと言った方がわかりやすい画であった。
ロドリゲス監督が、意図的に主観者の身体の一部を入れたかどうかは定かではないが、過去の作品よりも、第3次立体映像ブームの作品は主観者の体の一部が写ったPOVが多いとは言えると考える。

実は本日17日、『クリスマス・キャロル』(2009年)という3D映画のDVDがやっと発売になった。
この監督はべオウルフの監督でもある、ロバート・ゼメキス監督である。
2005年のシンポジウム参加した監督の中で、唯一2005年以降に2本の3D映画を監督している人なので、クリスマス・キャロルがべオウルフと比較してどんなPOVショットを使用しているかを分析すれば、何かわかるかもしれない。
さっそく、本日DVDを手に入れてまずは普通に鑑賞したが、実に様々なPOVショットが見受けられた。また、これはPOVとは離れてしまうかもしれないが、POVつまり主人公の視線とは一致していないのにも関わらず、ゲームのFPS的な構図に近い映像が多々見られた。
なぜゲームのFPS的な構図にしながら、POVにしなかったのか。

これは物語自体に『のぞき見』という要素が重要になっており、そののぞき見シーンに関しても主人公と一緒にその光景をのぞき見・客観視しているようなショットにしているため、意図的にPOVショットを避けた意図も考えられるが、だがそれでも通常のシーンまでFPS的な構図をわざわざPOVからはずした意図はわからない。

細かく分析して、深く調べていきたい。
それで、この作品の分析が終了したら、今ある目次改良し、論文を書きだそうと思う。
書いてみて判る欠陥もあると思うので。
11月も後半。気を引き締めていこう。

2010年11月13日土曜日

分析再開

しばらく外出しておりました…。
今日からまた分析を再開です。
いま分析しているのは、『シャークボーイ&マグマガール』というロバート・ロドリゲス監督(第3次立体映像ブームのきっかけとなったシンポジウムに参加)の作品です。

○以下詳細
『シャークボーイ&マグマガール3D』2005年公開
監督:ロバート・ロドリゲス
原案は、監督の息子(7歳)が作った話だとか。
日本でも公開されています。

ロバート・ロドリゲス監督は、スパイキッズ3で2003年から立体映像を制作しています。
ただスパイキッズ3は、飛び出し効果ばかりで物語はとんでもなく面白くなかったですが…(個人の感想です)
この作品は、シンポジウム後に公開の作品です。まだ細かくは分析出来ていませんが、POVショットをどんな演出で使用しているのか、統計をとるのが楽しみです。

ちなみに、昨日『アバター』ブルーレイの3D版の映像を見ることが出来ました。
見たモニターはサムスンのLED3Dテレビ(46型)。
まず驚いたのが、2Dから3Dに変える作業。リモコンのスイッチ一つで出来るんですね。
映像の感想は、まず映像の美しさ。正直、映画館で見たよりも鮮明で、2Dの状態でも奥行きを感じてしまうほどの鮮明さでした。
ただ、残念だったのが3Dの見づらさ。たぶんメガネの設定が正しくなかったのだと思うのですが、アクティブシャッターであるのに、なぜか見る場所によって明るさが変わり、さらに途中2Dの映像が見えたりする。メガネの設定を合わせたとしても、あくまで見ただけの雰囲気ですが、メガネの質があまり良くない気がしました。
ただしっかり立体感が感じられるときは、映像の美しさもプラスして、映画以上の奥行きを感じることが出来ました。
3D版ブルーレイを手に入れることが出来たら、日本の機材で是非とも見てみたいです。
あの美しさで3D体験出来たら…。
3Dは映画館よりも家で見るものになるかもしれません。

2010年11月9日火曜日

先日、電気屋さんで3Dモニター付きのノートPCが数種類売っていたので、視聴。

確かに立体に見えるのですが、どのPCも視野角があまりにも狭すぎる。
しかも、メガネをかけても視差がそのまま残って見えている部分が多々。
長時間みていると目が疲れそう…。
個人的に撮影した静止画を付属ソフトで3D化して楽しんだり、立体ゲームをなんとなく楽しむ程度なら問題なさそうですが、しっかりと作品制作・編集をするなら難しいかと。

ただどんどん技術は進化していく今。
ハンディの3Dカメラも出たことですし、Finalcutの3Dプラグインもバージョンアップしていますし、近いうちには普通のPCに適度な3Dモニターとムービーメーカー<3D>みたいなソフトも現れ、立体映像作品が手軽にみんなが制作できる日も近いかもしれませんね。

2010年11月7日日曜日

日本映画以外で、他国ではどんな3D映画が公開されているのか調べてみました。
まずは、前回の機材の話題でも出した韓国。
まず見つけたのは、なんと2000年に公開された立体映画。
この作品は、日本との関わりも深いのです!
 
『平和の時代』
監督はローレンス李(イ・ウォンソク)。
この監督は在日韓国人で、日本映画学校を卒業して大林宣彦監督や黒澤明監督の助監督の経験もあるとのことだとか。
さらに、なんとこの映画技術部門を受け持ったのが日本の会社『白組』
Allways三丁目の夕日や、近日公開の『SPACE BATTLE SHIP 宇宙戦艦ヤマト』などを手掛ける、日本映画のVFXに関してはホント凄い会社です。
韓国で立体映像作ったのは、機材の関係なのか予算の関係なのか発注されたからだけなのか、詳しいところはわかりませんが、日本の技術が活かされるのは良いですが、ライバル国の技術を成長させることになってるのかもしれないですね;;
悪いことではないのでしょうけど、う~ん。
 
最近では『弦の歌』という、アバターのように3D撮影をしっかりおこなう長編映画の制作にもはいったとか。
実はジェームズ・キャメロン監督も「韓国は3Dの世界市場を主導するだろう」という発言もしていますし、本当に日本、負けてられないです!
 
韓国以外にも、どんな3D映画があるのかこれは研究に関わらず興味があるので調べていきたいです。
 

2010年11月5日金曜日

アバターについて

『アバター』監督:ジェームズ・キャメロン
<POVカット数>
・主観POV…39カット
・主観移動…22カット
・飛び出しカット…3カット
・FPS…5カット
69カット

アバター含め、他の作品も種類別のPOVカットの時間も分析中です。

アバターは、第2部と第3部の公開も決まったようですね。
今後どういったPOVショットが出てくるか楽しみです。
増えたPOVショットがあれば、それはキャメロン監督が立体映像で効果的だと判断した、POVショットかもしれませんし。
僕の予想では、FPSのようなPOVショットが増えると考えます。
以下のようなコメントをキャメロン監督は話していますし。
今後は立体映画では、ゲーム的なPOVショットが増えるかもしれませんね。
URL:http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20373660,00.htm

ちなみに小ネタですが、アバターはHaloというシューティングゲームに似ているという噂があるんです。ただ、実はHalo自体がキャメロン監督の『エイリアン2』をモチーフにしているらしいです。
キャメロン監督も笑って説明してますね。
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/4547628/

2010年11月3日水曜日

発表練習

今日は卒業発表の練習でした。

絞ったほうがよいとのアドバイスをいただいので、POVというくくりだけではなく、もう一つ軸を決めたいと思っています。
ただ、作品の分析は今まで気づかなかったその年代ごとの違いや、POVの活かし方が発見できるので、第1次~第3次まで各残り1作品ずつは分析を続けようと思います。
それを踏まえたうえで、論文を展開していくもう一つの軸、制作する作品内容を吟味します。

また、今日は学校に特別講義のためにいらっしゃった北谷賢司先生にお話を伺うことができました。特に興味深かったのは、アメリカでは3D映像の作品を上映する際、劇場でお客さんにマイメガネを販売している劇場があるのだとのこと。
確かに自分専用のメガネなら清潔に管理できますし、劇場側もリピーターを作ることが出来る。
アクティブシャッターなら電池も売れますしね。

日本もシネコン保有の東宝あたりが始めそうな…。
マイメガネを持っていたら、○○円割引!なんて状況に近いうちなるかもしれません。

いや~、他国のお話は日本の未来になるかもしれませんから、面白い。
本当に勉強になります。


今年も気づけば2カ月切りました。本番に満足いく発表が出来るよう頑張ります。